慢性腎臓病とは

 腎臓は体内の血液を1日150~200リットルもろ過して、老廃物を体外に排出しています。これらの働きが60%以下になってしまったり、タンパク尿が出るなどの異常が続く状態をひとまとめに慢性腎臓病と呼び、腎臓病の早期治療の対象としています。慢性腎臓病を放っておくと腎不全になり人工透析や腎移植が必要になったり、最近は脳卒中や心筋梗塞などが起こりやすくなることもわかってきました。

 慢性腎臓病の定義は、「尿検査などの結果により、腎臓に明らかに障害がある」「腎臓のろ過機能が60%未満に低下している」という2つの条件のどちらかに当てはまるか、もしくは両方が3カ月以上続く場合に慢性腎臓病と診断されます。

 原因は、肥満・運動不足・飲酒・喫煙・ストレスなどの生活習慣や、高血圧・糖尿病などの生活習慣病、免疫系の異常、薬に対するアレルギーなどです。また、メタボリックシンドロームでも、慢性腎臓病になる危険が高くなります。

 症状は、自覚症状がほとんどありません。初期症状としては、疲れやすい・頭痛・だるい・むくみ・目まい・尿が少なくなる・貧血・高血圧・頻尿などの症状があります。ただ、これらの症状は他の病気でも起こる症状なので、腎臓病からくる症状であると特定することは難しいといえます。

 治療は、人工透析が必要になってしまう末期の腎不全にならないように、なるべく進行を食い止めて、心臓の血管疾患(心筋梗塞など)になるのを防ぐことが目的となります。

 治療の基本は、生活習慣の改善と薬です。生活習慣の改善は、肥満の解消、塩分を控える(塩分摂取量1日6グラム)、3度の食事はきっちり取る、禁煙する、腎機能が低下している場合には低タンパクの食事にする、などです。また、高血圧や糖尿病などの生活習慣病がある場合は、その病気自体を改善する必要があります。血圧でいうと、上は130mmHg未満に、下は80mmHg未満に改善が必要です。

 定期的に健康診断を受け、気になる結果が出たときは、まずかかりつけ医を受診しましょう。