ヒトパピローマウイルス(HPV)と子宮頚がんについて

 HPVは、人の皮膚や粘膜にいるごくありふれたウイルスです。HPVには多くの種類があり、その数は100種類以上で、子宮頚がんに関するものは15種類ほどです。特に子宮頚がんを発症する悪性のものは16型と18型です。通常、膣内は常在菌により酸性に保たれ、外界からの感染を防止していますが、頚管内は感染の温床になりやすく、子宮頚がんの発症部位となります。

自然治癒

 HPVに感染することは、決して特別なことではなく、性交経験のある女性なら約80%の人が16型や18型のウイルスに一度は感染しています。しかし、感染といっても淋病や梅毒などのような性感染症ではありません。幸いなことに、子宮頚がんを引き起こす悪性の16型や18型のウイルスに感染しても、ほとんどの場合は一過性でウイルスは自然に排除されます。

子宮頚がんは早期発見が可能

 悪性のHPVが排除されずに、また、度重なる感染が長期間続くと、子宮頚部の細胞が次第に異常な形態(異形成)を示すようになります。しかし、異形成に変化しても多くは自然に治癒しますが、ごく一部のケースでがん化していくものがあると考えられています。悪性のHPVの感染から子宮頚がんの発症まで、通常は長時間を要するため、がんになる前に発見することが可能なのです。

子宮頚がん予防ワクチン

 がん予防のワクチンというものがほとんどない中で、子宮頚がんの予防ワクチンがあるということは、とても幸せなことです。松戸市では、中学1年生から高校1年生までの女性は無料で接種できます。その他、一般の女性も病院・医院で接種することができます。その際、病院・医院によって多少料金が異なるかもしれませんので、お問い合わせ下さい。ワクチンの接種は初回、1カ月後、6カ月後の合計3回必要です。3回接種することにより、高い抗体価が得られ、長期間持続可能となるのです。

 また、その他の種々の原因により子宮頚がんが発生する場合もありますので、1年に一度は子宮頚がんの検査を受けるようにしましょう。