COPD(慢性閉塞(へいそく)性肺疾患)

 COPDとは、気管支や気管支の先にある酸素を取り込むための肺胞に治りにくい炎症を生ずる病気です。COPDは世界の死亡原因の第4位で、今後さらに増え続け、2020年には全世界の死亡原因の第3位になることが予想されています。日本でも530万人以上の患者がいると考えられています。

 COPDの最大の原因は喫煙です。COPDの患者さんの約90%が喫煙者です。喫煙には、タバコを吸わない人が、周りの人が吸ったタバコの煙を吸わされる受動喫煙も含まれます。喫煙以外の原因としては、大気汚染・職業環境(粉じんや化学物質の吸入)・遺伝もあります。

 COPDは初期には咳(せき)・痰(たん)といった日常的なありふれた症状がみられ、風邪・年齢や喫煙のせいにされてしまうことがあります。そのまま気づかれずにゆっくりと進行していき、ちょっとした動作を行う際も息切れや息苦しさを感じ、日常生活に制約が出てきます。さらに進行すると、酸素療法や寝たきりになる呼吸器の病気なのです。

 COPDで苦しまないためには、できるだけ早く病気を見つけ、早く治療することが重要です。COPDは問診と身体検査と胸部レントゲン検査、スパイロメーターと呼ばれる機器を使用して、肺の機能を調べることで診断できます。スパイロ検査はCOPDの早期診断に有用です。

 COPD症状をチェックしましょう。①1日に何度も咳をする②1日に何度も痰が出る③同年代の人に比べ息切れしやすい④40歳以上である⑤現在喫煙している、または以前喫煙していた。このうち3つ以上当てはまる人は早めに医師にご相談ください。

 COPDの最も効果的な治療は禁煙です。禁煙により疾患の進行と重症化を防ぐことができます。COPDを根治する薬剤はありませんが、気管支を拡張する薬などを用いて症状を緩和します。食事は必要な栄養を取るようにし、風邪を契機に重症化することがありますので、うがいなどの対策とインフルエンザや肺炎球菌ワクチンを受けるようにしましょう。