円形脱毛症

円形脱毛症は痛みや痒み(かゆみ)を感じることなく、円形あるいは楕円形に頭の毛が抜けてクッキリと地肌が見える脱毛です。

男性にも女性にもおこる病気で、赤ちゃんから80歳のお年寄りまで幅広い患者さんがいます。とくに10歳代や20歳代の青少年期に初めて円形脱毛症になることが多いようです。

ストレスが原因か

今までは、家族の心配事や責任の重い仕事をまかされたり、転校したときにおきる精神的ストレスや、なんとなくだるくて元気がでないというような、いわゆる自律神経失調症が原因ではないかと言われてきました。確かに20%程度の患者さんにそのような出来事があり、円形脱毛症が始まるきっかけにはなることがあるようです。

しかし80%の人には、そのようなことはなく、まして何年も長く広範囲な脱毛が続くときなどは、なりやすい遺伝的素質が問題で、ストレスはほとんど関連がないとみられます。

脱毛するわけは

最近の研究によれば自己免疫説が有力です。つまり、人間には細菌などの外敵から体を守る免疫という仕組みがあります。その免疫が何らかの原因で自分自身の体を外敵と間違えて攻撃してしまい、体が正常に働けなくなってしまう病気を自己免疫疾患といいます。

円形脱毛症では毛を作る毛母細胞を免疫をつかさどるリンパ球が攻撃して、毛を作り出せないように壊してしまうことが分かってきました。またアレルギーの病気や精神的ストレスなどが免疫の仕組みを狂わすきっかけになることもあると考えられています。

経過と治療

脱毛部が1ヶ所だけの単発型は、6ヶ月くらいで自然に治ることがほとんどです。抜けている範囲が広いときや単発型でも繰り返しおきている場合には治りにくいので治療が必要です。また一度かかると繰り返してしまうことも多く、再発する割合は5年以内に40%という調査もあります。

治療はアレルギーを抑える抗アレルギー剤の内服や免疫攻撃をやわらげる副腎皮質ホルモン外用剤などが用いられます。症状が良くなるまでに長い時間がかかる場合には義髪(かつら)の使用や精神的なカウンセリングが病気とつきあっていくのに役立つことがあります。