エコノミークラス症候群

旅行中に起こる可能性のある深部静脈血栓症

長時間、下肢を動かさずに座っていると、下肢の奥にある静脈に血のかたまり(深部静脈血栓)ができることがあります。さらに立ち上がったときなどにこの血栓の一部が血流にのって肺に運ばれてしまうと、肺の血管を塞いで(肺塞栓)、呼吸困難や心肺停止などの症状を引き起こします。
深部静脈血栓が長時間座っているエコノミークラスの乗客から多く報告されたため、エコノミークラス症候群と呼ばれるようになりました。

航空機以外にも

座席のクラスに関係なく、また航空機以外の交通機関や劇場、職場などでも一定の姿勢のまま長時間動かなければ、同様の危険性があるとされています。
特に、下肢静脈瘤、下肢や腹部の手術、けが、血液が固まりやすい(凝固能異常)、経口避妊薬内服中、妊娠、出産後などの人では深部静脈血栓を生じやすいので注意が必要です。

深部静脈血栓症の予防対策

搭乗前に軽い食事やノンアルコールの水分補給をすることにより、血液量が増し、循環が促進され、足に血の固まりができるのを防ぎます。
また血行促進のため数時間おきに座席から離れて化粧室などへ歩いて、適度な運動をし、座席から立つのが難しい場合は、足首を動かしたり、座る姿勢を変えるなどしましょう。