■ あなたの健康(「広報まつど」のコラムより)

うつと自殺

(2019年10月15日号より)

 激増する中高年男性の自殺。その多くはうつ病が引き金になっています。うつ病を招くのは、経済問題や人間関係の悩みだけではありません。他の病気や手術などで体が弱っていることが、うつ病を引き起こすケースもあります。その上、慢性化した頭痛や腰痛・インポテンツ・食欲不振などさまざまな身体症状にうつ病は隠れたり共存しながら、心身をむしばんでいくのです。しかし、うつ病は治せる病気です。本人はもとより、家族や会社、医師にもその症状や治療方法の情報が十分でないため、みすみす助かる命が危険にさらされているのです。

 中高年の年間の自殺者数が、ゆうに交通事故による死者数をしのぐという異常事態が続いています。うつ病は、よほどの軽症の場合を除いて自然治癒することはありませんが、適切な治療によって治すことができます。うつ病の治療にあたっては、抗うつ薬を服用することになりますが、これとともに重要なのが、休養です。いくら効果のある薬をのんでいても、以前と同じように仕事を頑張ろうとしたのでは、うつ病はよくなりません。

 つらいことがあっても、そのつらさを口に出して言えない人は、うつ病になりやすいです。うつ病になると、体の病気の回復が遅れ、死亡率も高くなります。

 脳血管障害の患者の4人に1人にうつ病がみられるといいます。うつ病がアルツハイマーを誘発することもあるといわれています。心療内科というのは、心の病が原因で起きた体の病気を専門に診察、治療する科なのです。うつ状態になると、「生きよう」、「生きたい」という気持ちが薄れていきます。うつになると、頭の中では生きていくのがつらいと考えるようになり、生きる意欲をふりしぼり切れなくなります。うつ病は、かかりはじめてから治療でよくなるまでに常に億劫さがまつわるので、周囲の人の理解とサポートが重要になってきます。

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