消化器内視鏡検査の話【第2回】

 前回(12月15日号)からシリーズでお伝えしている消化器疾患のがん検診についての第2回です。今回は、胃がんに対する内視鏡検査に関してお話します。

 松戸市では、年に一度の胃透視検査(以下、「バリウム検査」)と2年に一度の上部消化管内視鏡検査(以下、「胃カメラ」)の2種類の検査による胃がん検診が行われています。

 胃がんを発症する患者さんのほとんどがヘリコバクター・ピロリ菌(以下、「ピロリ菌」)の感染歴があります。ピロリ菌は不衛生な井戸水や陽性者の唾液からの経口感染で、幼少期の未熟な胃内で感染が成立すると言われています。ピロリ菌除菌治療の普及と上水道完備など環境衛生の向上によってピロリ菌感染率が年々低下していることに伴い、胃がんの罹患りかん率は減少傾向にあります。ピロリ菌感染の有無が胃がん発生の分岐点となることが分かっているので、なるべく若いうちにピロリ菌の有無を胃カメラで確認することを強くお勧めします。

 残念ながら、バリウム検査ではピロリ菌感染胃炎の初期段階や早期胃がんがわかりにくい場合があります。令和4年度の松戸市の胃がん健診における胃カメラでのがん発見率(0.9%)は、バリウム検査の発見率(0.05%)の実に18倍でした。胃がん内視鏡検査でピロリ菌感染胃炎と診断された場合は、保険診療で抗体検査を行い、ピロリ菌の除菌治療を受け、その後も定期的な胃カメラを必ず受けてください。

 ピロリ菌に感染していない人は毎年のバリウム検査でも良いのですが、食道がんはピロリ菌とは無関係に発症しますので、頭頸部とうけいぶがんの既往歴、喫煙歴やアルコール多飲または少量の飲酒でもすぐに顔が赤くなるなど発症リスクがある人は特に、バリウム検査ではなく胃カメラによる胃がん検診が推奨されています。

 次回は大腸がん検診についてお話しします。