ドゥ・ケルバン病は手首の腱鞘炎けんしょうえんです

 指先から手首にかけては、指を動かす筋肉につながっている腱と、腱をトンネルのように覆う腱鞘という組織があります。これらの組織に炎症が起こるのが腱鞘炎です。手首に起こる腱鞘炎がドゥ・ケルバン病と呼ばれています。手首の親指側を通っている腱と腱鞘に炎症が起こり、親指が動かしにくくなったり、親指に力を入れると手首の親指側に痛みが起こったりします。痛い部位が腫れることもありますが、ばね指のように引っ掛かりを感じることはありません。親指を中にして握り拳を作り手首を小指側に反らした際に、手首の親指側の出っ張った部位に痛みがあればドゥ・ケルバン病が疑われます。「文字を書く」「パソコンを長時間使う」など手や指をたくさん使う人に多く見られます。その他妊娠中や出産後、更年期の女性、糖尿病の人などでもよく見られます。

 治療の基本は保存療法で、まず手の安静を保つことや装具の使用にすることで症状の改善が期待できますが、実際には手や手首の安静は難しいものです。特に出産後の子育て中などでは手の安静はまずできません。痛みが強く日常生活に支障がある場合はステロイドと局所麻酔薬の注射(腱鞘内注射)を行います。保存的治療で改善しない場合は腱鞘の一部を切開する手術が必要になります。手首の痛みに気づいたら早めに医療機関を受診しましょう。