膵臓の病気

 私たちのおなかの中にある消化器系の臓器には、胃、小腸、大腸、肝臓、胆嚢(たんのう)、膵臓があります。その中で膵臓は、皆さんにはあまりなじみのない臓器かもしれませんが、常に重要な役割を果たしています。膵臓は、2つの異なる働きをしています。1つ目は、食物の消化にいくつもの消化酵素を含んだ膵液の分泌や胃液の中和といった「外分泌機能」と、2つ目は、血糖をコントロールする「内分泌機能」です。

 膵臓の主な病気は膵炎とがんです。急性膵炎、慢性膵炎、膵臓がんがあります。そのほか膵内分泌腫瘍(しゅよう)、膵のう胞などです。

1.急性膵炎 ‐ 重症では死に至る場合も

 膵臓が自分で自分を消化する病気です。膵臓が腫(は)れるだけで容易に回復する軽症のものから多臓器不全で死に至る重症例まであります。原因はお酒の飲みすぎ・胆石・特発性(原因不明)です。多くは急な上腹部痛から始まり、吐き気と嘔吐(おうと)が続きます。血液検査、画像診断で重症度を決め適切な治療を行います。

2.慢性膵炎 ‐ 膵臓が少しずつ障害されていく病気

 膵臓の組織が障害され働きが低下していく病気です。線維化、石灰化することもあります。原因はアルコール性が多いがさまざまです。最近は自己免疫性膵炎も注目されています。

3.膵臓がん ‐ 早期発見が難しいがん

 男女とも膵臓がんの罹患(りかん)率、死亡率は増加傾向にあります。特に60歳代から急激な増加がみられます。大部分は膵管(膵液の通り道)から発生し増えながら広がっていく浸潤性膵管がんです。膵臓がんは早期には特有な症状が乏しいため、診断されたときにはすでに周囲の臓器に広がっている場合が多く、手術ができる膵臓がんは全体の20%にすぎません。膵臓がんの危険因子には喫煙、糖尿病、慢性膵炎、家族に膵臓がんの人がいる、肥満があります。これらの危険因子を持った人は要注意です。

膵臓にやさしい生活

 暴飲暴食を避けバランスのとれた規則正しい食生活、禁煙、生活習慣病の予防にも心がけましょう。定期的な検診も受けましょう。