体重減少性無月経および神経性食欲不振症について

 女性の性機能は、体重と体脂肪が深く関連しています。初経の発来には、一定の体重と体脂肪が必要です。思春期の発来とともに、エストロゲンの作用により乳房や腰部に体脂肪が増加し、女性らしい体型に発達します。間脳―下垂体―卵巣系の内分泌機能、妊娠、分娩など生殖機能の正常化や維持にも適量の体脂肪が不可欠です。

 近年、食生活の変化や運動不足などのために、小児期から肥満症が増加していますが、一方で女性のやせ願望が多くみられ問題となっています。特に思春期の女性では適正体重であるのに、肥満と感じ拒食をするため、無月経や月経不順が起こっています。

 思春期女性の続発性無月経の誘因は、美容を目的とした減食による体重減少が最も多いのですが、現代の社会的背景のもとに神経性食欲不振症の発生が急増しています。

 長期間の低エストロゲン状態は、子宮内膜の萎縮や骨塩量の低下を招き無月経になります。ホルモン補充療法は、高い効果があります。体重が元に戻ると月経が再開することが多いのですが、体重回復後も約30%の人たちは無排卵が続きます。

 神経性食欲不振症は神経性過食症と合わせて摂食障害であり、自身によって引き起こされ持続する意図的な体重減少が特徴づけられる障害です。予後調査によりますと回復していない人では、同じ症状を慢性的に繰り返しています。この病態像の根本的な原因はまだ明らかではありませんが、より特異性の低い心理規制および人格の脆弱性(ぜいじゃくせい)が発生に寄与しているという証拠が増えています。肥満への恐怖が存在し、ぬぐい去りがたい過度の観念として自分の体重の許容限界を低く決めています。抑うつ的あるいは強迫的な症状、人格障害の諸特徴を伴うことがあります。