睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠中に呼吸が止まった状態(無呼吸)が断続的に繰り返される病気です。一晩(7時間の睡眠中に10秒以上の無呼吸が30回以上、または、睡眠1時間あたりの無呼吸や低呼吸が5回以上起こる場合に睡眠時無呼吸症候群と定義されています。眠っている間に呼吸が数十回、時には数百回止まるようであれば、睡眠不足や体内の酸素不足が深刻になってきます。

このため、日中の眠気、集中力の低下、居眠りによる重大事故などが起こりやすくなるだけでなく、酸素不足により循環機能に負担をかけ、高血圧・不整脈を発症する可能性は健常者の2倍、狭心症・心筋梗塞は3倍、脳血管障害は4倍あるとの報告もあります。睡眠1時間あたり20回以上無呼吸が記録された患者さんでは、無治療のまま放置すると、9年後には10人中4人は心臓病・脳血管障害・交通事故・突然死でなくなっていたとの報告もあります。 従って、診断と適切な治療を行う必要があるのです。

症状と診断

最も重要な症状はいびきです。扁桃腺の極端な肥大や、肥満による舌根部の肥大は、睡眠時気道を狭くして、いびきの原因になります。

大きないびきをかく、いびきの後で呼吸が止まる場合、本症が疑われます。日中の異常な眠気、熟眠感がない、起床時の頭痛、息苦しくて目がさめる、夜間頻尿などの症状も認められます。

睡眠中の症状なので、診断は睡眠中の無呼吸、酸素濃度を自宅で測定するアプノモニター検査や、入院して睡眠脳波、筋電図、眼球運動、呼吸状態をモニターする終夜睡眠ポリグラフィー検査を行います。 必要に応じて、耳鼻科検診、歯科検診、胸部レントゲン、心電図、肺機能検査、採血なども行い治療方針を立てます。

治療

まず生活習慣の見直しが必要です。肥満があれば、減量が有効な治療になります。アルコールは筋肉の弛緩作用があり、就眠前の飲酒は止めましょう。一部の精神安定剤や睡眠導入剤、筋弛緩剤も無呼吸を悪化させますので、内服している場合は医師とご相談ください。仰向け寝は舌根沈下を招くため、なるべく横向きに寝るようにしましょう。症状に応じて、顎を持ち上げて気道を開くようなマウスピースの作成や装着を行い、さらに、症状が重ければ睡眠中鼻マスクを装着し、加圧した空気を気道に送るCPAP療法を行います。

また、扁桃腺の肥大により気道の閉塞を生じる場合や蓄膿症、アレルギー性鼻炎、鼻ポリープなど鼻づまりがある場合は耳鼻科的治療が必要になります。 治療により良好な睡眠を取り戻し、日中の眠気をなくして活力ある生活を送ることが可能になります。本症が疑われる方は、かかりつけ医にご相談ください。