今年は台風により日本各地で甚大な被害が発生しました。千葉県内でも多くの方々が被災され、いまだに不自由な生活を強いられています。台風や地震といった災害時に気をつけなくてはいけない病気のひとつに、エコノミークラス症候群があります。飛行機での長時間のフライトの後、歩き始めた途端に呼吸が苦しくなり、時に死亡してしまう病気で、エコノミークラスで発症することが多かったことから、このように呼ばれています。
近年では、災害で避難している状況で、多くの人がこの病気で命の危険にさらされています。車や避難所など足を伸ばせない状況に長時間いるため、下肢の静脈に血栓(血液の固まり)ができ、それが歩行などの運動をきっかけに血液の流れに乗って肺に到達し、肺の血管を閉塞させて呼吸ができなくなってしまいます。
災害時には、飲み水が不足したり、トイレを心配して水分を十分にとらないこと、足の曲げる姿勢が多くなり運動も十分にできないことなどから、血栓ができやすくなります。予防のためしっかり水分をとること、定期的に足の運動(足首を動かすなど)を行うことで、下肢の血液の流れをよくして、血栓を作らないようにすることが大切です。弾性ストッキングの使用も有用です。